英文名 | Land Use Planning | |
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科目概要 | 生物環境科学科3年前期 [水曜日2時限(週1コマ)]、3群科目、選択、講義、2単位(30時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎森 淳※ | |
講義室 | 841講義室 | |
備考 | 科目ナンバリング:VE301-RS32 | |
JABEE認定プログラム履修の手引き(表3・14)との関連 | B |
「地域資源」の概念は,地域住民,行政関係者,研究者などその立場によって異なるが,大略地域内に存在 する資源であり、地域内の活動に利用可能な有形、無形のあらゆる要素を指すとしてよい。人と人の繋がり や地域特有の文化など目に見えない物も含まれる点が重要である。これが農村地域以外を含めた国土全 体における地域住民の生活に密接な存在であることを国土利用の法体系を中心に理解できるようにする。 上記はいわば「土地」の利用の在り方に関する法制度であるが,別の側面からきわめて重要な地域資源が 存在する。それは水である。日本人は,水田を拓きコメを生産するために芸術的と言えるほどの水利システ ムを作り上げた。農業生産の意義は地域経済のみならず環境や集落機能など多様にわたることは農村出 身者でないと理解しがたい面がある。その中で農業水利施設は地域の重要産業である農業の生産を支え る基幹的なインフラであり,人が管理する地域資源としての役割が大きい。本講では地域資源である農業 水利施設の構造や管理に関する知識を身に付け,これらが地域社会における役割を理解できることを目的 とする。
まず国土の利用に関する主要法体系を講義する。次に地域資源である農業水利施設の造成・管理に関す る幅広い知識を習得するとともに,現実の農業農村整備事業が地域社会に与えている影響を正負双方の 面から論じる。 巨大な施設が築造された地域は環境のみならず管理の面からも従来とは大きく異なる対応を迫られるこ とになる。少子高齢化が進み,一方で先端技術を駆使した農業生産が広がりを見せる中,農業水利施設の 整備と,主として集落レベルの農村社会の関係について自ら考える能力を身に付ける観点から講義を進め る。
授業は講義方式とする。指定する教科書を基本に授業を進め,わかりにくい箇所,不足している箇所,新しい 農政の動きを適宜補う。後述するが教員が口頭で話した内容は極めて重要であるのでノートをすること。本 科目と土壌環境学は丁寧にノートをとり,復習することが重要である。 課題を課した場合は、次回の授業で、課題の中の特徴的な見解やレポートに見られた誤解についてコメン トする。
○DP2:環境科学に関する理解と高度の知識・技能
○DP3:生態系機能の解明と理解を基盤に環境保全に貢献できる能力
◎DP4:環境資源の維持と修復に寄与する能力
◎DP5:環境保全に関わる社会の多様な要請に応えられる問題解決能力
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | 概説 | 我が国における農村地域の社会経済的状況,農業生産をめぐる状況,農業生産環境の創造,農村 環境の創造を総括的に説明する。 | 森 淳 |
2 | 地域資源と地域・社会 | 公共経済学,民俗学から見た農村地域の特徴を論じる。 | 森 淳 |
3 | 中山間地域の現状と課題 | 農村部においても高齢化の進んでいる中山間地域は,農業生産の重要な場でもある。現在どの ような社会現象が進行しているかを中心に,生産政策,社会政策の2輪で進められている中山間 地域対策と今後の在り方を論じる。 | 森 淳 |
4 | 国土計画に係る法律や計 画におけるフレームワーク (1) | 国土計画実施の流れ,事業の流れについて国土交通省管轄の法制度を中心に説明する。農林水 産省関係の法制度は環境倫理・法規で説明する。 | 森 淳 |
5 | 国土計画に係る法律や計 画におけるフレームワーク (2) | 林野庁が管轄する森林地域での森林計画制度を介した管理内容について説明する。また,環境省 が管轄する自然公園地域の公園計画および保護規制計画に基づいた管理内容について説明する。さらに,自然保全地域における規制ついて説明する。 | 森 淳 |
6 | ダム(1) | 概説,コンクリートダムとフィルダム | 森 淳 |
7 | ダム(2) | 基礎処理,洪水吐,付帯施設,水利権 | 森 淳 |
8 | 頭首工(1) | 取入口,固定堰,可動堰,護床工,止水壁および粗壁,魚道 | 森 淳 |
9 | 頭首工(2) | 取入口,固定堰,可動堰,護床工,止水壁および粗壁,魚道 | 森 淳 |
10 | 水路工(1) | 開水路の構造と管理 | 森 淳 |
11 | 水路工(2) | 菅水路,トンネル,暗渠,サイホン,落差工,分水工 | 森 淳 |
12 | ため池 | 改修の設計,ため池の生態系 | 森 淳 |
13 | 地下ダム,ポンプ場 | 概説,地下ダム,ポンプ,機場 | 森 淳 |
14 | 地域資源管理と環境 | 農村における環境管理の理念,農業農村の多面的機能について論じる。また農地中間管理機構 等w通じた集落における耕地の管理の事例を初会する。 | 森 淳 |
地域資源の概念が明確に把握できる。土地利用関連の法体系を理解できる。地域資源として重要な農業水利施設の 計画・設計に関する基礎的な知識を習得できる。少子高齢化の進む農村地域に築造される農業水利施設の存立意義 と管理の在り方を理解することができる。農業水利施設の技術的知識を習得できる。
定期試験で評価する。定期試験においては教員が口頭で話した内容が重要であるので,必ずノートをとること。本科目 においては,板書はグラフや図解などに利用するに過ぎず,仮に「板書されていない箇所から出題された」と考えるのは 授業の受け方そのものに問題があると言わざるを得ない。 欠席者に関しては試験細則第5条を適用するほか、正当な理由がない場合は前述の換算点数から欠席1回当たり5点 を差し引くので注意されたい。到達目標に達していない場合は再試験を1回行う。
【授業時間外に必要な学習の時間:60時間】
予習:シラバスに即した順序で授業を行うので,教科書の次回の授業内容を読んだうえで、ポイントをノートにまとめてお くこと。
復習:使用する教科書は農業農村整備事業のいわばエッセンスである。授業中強調された部分は特に重要な箇所であるので,自分で補足することが望ましい。
農業農村工学系公務員試験やコンサルタント入社試験等の基本となるので、この方面に進む希望がある者は特に十分学習をすること。
オフィスアワー(月曜日から金曜日16:30〜18:00)を活用すること。不在であることが多いので事前にメール等で連絡して頂きたい。
原則として20分以上遅刻した場合は出席と認めない。
実務経験の授業への活用方法:農林水産省における農業農村整備事業の企画立案、実施及び農研機構における研究 の経験を踏まえ,より現場に密着した授業を行う。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 資格試験のための農業農村工学必携 第二版 | 公益社団法人 農業農村工学会 | 公益社団法人 農業農村工学会 |
参考書 | (なし) |