英文名 | Environmental Ethics | |
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科目概要 | 生物環境科学科3年前期 [木曜日1時限(週1コマ)]、2群科目、必修、講義、2単位(30時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎森 淳※ | |
講義室 | 841講義室 | |
備考 | 科目ナンバリング:VE201-BS13 | |
JABEE認定プログラム履修の手引き(表3・14)との関連 | C |
科目 | 教科に関する科目(高等学校 農業) |
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施行規則に定める科目区分 |
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科学技術の目覚ましい発展は我々の生活を豊かにした一方で様々な問題を引き起こした。環境倫理学はこのような社会に生きている現代人が持つべき基本的教養である。加えて技術者は,適切なモラルを持ち,広い視野で社会のために考えて行動できることが期待されている。生物環境科学科で学ぶ事柄は,生命と技術の問題が顕在化する最前線の一つである。このため、環境に対する形而上的思考を深めつつ科学技術と環境や社会の関係を理解する。さらに,2年次以降の専門科目受講に備え、技術者としての社会的責任を認識する能力,倫理的問題に直面したときに適切な価値判断が可能な能力、その行動を実践する意思力を伸ばすことを目的とする。
人類の生存を脅かしかねない環境問題は,一見自分たちの日常生活とは離れた出来事のように感じられるが,その問題の所在を知ることは現代人の必須の教養であり,次世代に対する義務である。また専門家の分野は一般の人には分かりにくく、不正をしても分からないものである。それだけに専門家には自らの倫理行動が求められる。技術者は専門家としての倫理意識を身につけ、自ら律することが重要である。そのため、広い視野で社会のために考えて行動できる技術者として必要な倫理的判断力と倫理的意思力を養うため、技術者の倫理に関する基礎的な知識を学ぶ。キーワード:環境と技術,環境倫理,技術者倫理
講義形式で行う。各回講義は、担当教員が作成したレジュメ等に基づいて進める。レジュメには適宜余白を設けるので,講義中の解説をノートすること。授業の終わりに授業内容と自分の考えをレポート方式でまとめる。また、レポートはコメントを付して返却する。講義内容で不明な点は積極的に質問して欲しい。
DP1:◎豊かな人間性と高い倫理観
DP2:〇環境科学に関する理解と高度の知識・技能
DP3: 生態系機能の解明と理解を基盤に環境保全に貢献できる能力
DP4: 環境資源の維持と修復に寄与する能力
DP5:◎環境保全に関わる社会の多様な要請に応えられる問題解決能力
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | 講義ガイダンス 科学と技術 | 講義日程、講義内容、受講にあたっての留意事項等の説明 自然と人間,科学技術の発展,科学技術と人間の暮らし,科学技術と環境問題,科学リテラシー | 森 淳 |
2 | 環境倫理学と倫理学 | 倫理とは何か、モラルと倫理、法と倫理について,環境倫理学と倫理学 | 森 淳 |
3 | 環境問題の歴史と環境倫理学 | 環境問題と公害,予防原則とリスク・コミュニケーション,自然の歴史性,環境倫理学をなす3つの原則 | 森 淳 |
4 | 環境倫理思考に見る典型倫理と環境倫理学 | 3つの典型倫理思考,環境倫理学の系譜,環境倫理学の目標と分類 | 森 淳 |
5 | 人間中心主義と人間非中心主義 | ディープ・エコロジー,動物倫理学,エコ中心主義,人間中心主義 | 森 淳 |
6 | 環境的正義 | 世代間倫理,社会派エコロジー,南北問題と環境問題 | 森 淳 |
7 | 動物解放論 | 動物倫理と環境倫理、動物解放論の論理、環境リンリにおける動物解放論 | 森 淳 |
8 | 生態系と倫理学 | 環境難民,最適者の生き残り,共有地の悲劇,自然的サンクションと市場経済のサンクション機能 | 森 淳 |
9 | 自然保護 | 自然保護運動,保全と保護,生物多様性の保全と保全生態学 | 森 淳 |
10 | 消費者の自由と責任 | 自由社会,共有地の悲劇,対環境的責任,持続可能な開発 | 森 淳 |
11 | 技術者と倫理 | 技術者倫理の歴史,職務上の義務,技術者の倫理教育 | 森 淳 |
12 | 技術者のアイデンティティ | 専門職の倫理,研究者の倫理規範 | 森 淳 |
13 | 法的責任とモラル責任 | 不法行為法,製造物責任法(PL法),使用者の責任,コンプライアンス | 森 淳 |
14 | 説明責任と内部告発 | 公衆の知る権利と説明責任,インフォームドコンセント,内部告発の基準,公益通報者保護法,知的財産の保護 | 森 淳 |
環境倫理の理念と歴史的背景、及び具体的取組との関連を理解するとともに、技術者倫理について基本的知識を習得し、技術者として自分の行動がもたらす結果や影響を推測できる。また、悪い影響が予測できるされる場合、どう行動すべきか判断を下せる。
主として論述式の試験で評価する。論述式試験の採点にあたっては、授業内容の理解度に加え、自分の考えを論理的に書かれているかを重視する。
また、欠席者に関しては試験細則第5条を適用するほか、欠席はやむを得ない事情を除き1回につき5点を差し引くので注意されたい。
【授業時間外に必要な学習の時間:60時間】
予習:シラバスに示したキーワードを調べておくこと.
復習:授業後に配付資料を見直し、内容をまとめておくこと。
科学技術と環境の問題は,現代人にとって古くて新しい問題である。科学リテラシーを醸成するのに必要な,事実に基づく客観的思考を育むには,科学や環境がもたらしたもの,先人がこれらをどのように考えたかを知ることが必要である。技術者倫理は社会人・技術者として必須の要件であり、基本である。自分が生物環境科学科で環境について学ぶ礎になる科目であり、関心を持って学んでほしい。
実務経験の授業への活用法方法:農林水産本省における政策決定プロセスおよび農政局、国営事業所における農業農村整備事業の実施において経験した開発と環境の関係を踏まえ、机上の空論ではない環境倫理を伝える。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | (なし) | ||
参考書 | 環境と倫理 | 加藤尚武 | 有斐閣アルマ |
参考書 | 環境倫理学入門 | 髙橋公次 | 勁草書房 |
参考書 | はじめて学ぶ生命・環境倫理 | 徳永哲也 | ナカニシヤ出版 |
参考書 | 環境と科学技術者の倫理 | (社)日本技術士協会環境部会訳編 | 丸善出版 |