獣医生理学Ⅰ
英文名Veterinary Physiology Ⅰ
科目概要獣医学科1年後期 [金曜日3・4時限]、3群科目、必修、講義、1単位(15時間)
担当者(◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎久留主 志朗
講義室
備考科目ナンバリング:VV301-GS13

授業の目的

生理学は、個体レベルでの様々な機能が、どのようなメカニズムで発現し、どのような意義を持つかを考察する学問である。獣医生理学は、獣医学の基礎科目として1年後期と2年前後期に5単位が配当される質、量ともに大きい科目である。上級学年では薬理学、病理学、内科学などの獣医学の実際に即した、専門性の高い科目を学びますが、生理学はそれらの専門的な獣医学を学ぶための基礎となる。動物の、各種生理機能についての基礎的な知識を習得し、我々ヒトの身体にも起こっている様々な事象を具体的に挙げながら、その仕組みを説明することで生理学の理解を深めてもらう。その一方で知識の習得に終始せず、科学全般に必要な合理的思考と想像力を高めることも目標とする。

教育内容

獣医生理学講義(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)では、高等動物の個体レベルで発現する様々な機能系を扱うが、1年時後期のⅠでは、まず始めに細胞レベルの生理学概論をホメオスタシス、刺激応答とシグナル伝達に絡めて教授する。次いで興奮性細胞である神経と筋肉細胞に焦点をおいて、非常に動的な神経と運動機能の基礎となるそれらのメカニズムを講義し、生理学の学習ポイントをつかんでもらう。

教育方法

基本的手法は、教科書をベースにした自作のパワーポイント資料を使いながら、解説を加えていくというスタイルである。教科書の記述の理解を助ける、あるいは深めるような情報がパワーポイント資料には盛り込まれる。これらはプリントして配布するが、WebClassからも利用できるようにする。質問を随時受け付け、理解の難しかった点については次回の授業で再度説明し直すことでフィードバックさせる。試験等の解説では、典型的なあるいは多かった誤答例を紹介し、誤解を解くようにする。

卒業・学位授与の方針と当該科目の関連

◎DP1:生命科学の理解と高い教養及び倫理観の習得

授業内容(シラバス)

項目内容担当者
1生理学の序論獣医生理学I、II、III の全体説明 他科目との関連性の説明久留主 志朗
2蛋白質の構造と機能 1蛋白質の構造とその機能的分類久留主 志朗
3同 2酵素、受容体、チャネル、運搬蛋白質など久留主 志朗
4細胞レベルの生理学 1細胞内小器官 核、小胞体、ミトコンドリアなど久留主 志朗
5同 2生体膜の構造と機能久留主 志朗
6同 3生体膜間の物質移動久留主 志朗
7細胞シグナル伝達 1シグナル分子の生成と分泌様式久留主 志朗
8同 2シグナル受容機構と細胞の反応、増殖、分化、細胞死など久留主 志朗
9興奮性細胞の生理 1膜興奮の分子基盤 静止膜電位と活動電位久留主 志朗
10同 2神経細胞の興奮の伝導と伝達久留主 志朗
11同 3シナプス 神経伝達物質久留主 志朗
12同 4筋細胞の興奮と収縮機構久留主 志朗
13同 53 種類の筋の収縮特性久留主 志朗
14神経系 その1神経細胞の基本構造久留主 志朗
15その2グリア細胞、血液脳関門久留主 志朗

到達目標

個体レベルでの生理学を理解する基礎としてまず細胞レベルでの一般的機序を、生体膜やシグナル伝達を中心に理解する。続いて動物的機能である神経系と運動系の基盤である興奮性組織の神経と筋肉について膜電位の興奮とシグナル伝達の観点から理解する。このためには、関係する重要な分子や細胞、組織の名称、抽象的な生物学用語の定義についての基礎知識を充分に習熟する。形態学、生化学や他科目と有機づけて理解できるようになる。

評価方法

期末の試験成績で評価する(約90%)。再試験の受験の際も、本試験の成績と合わせて評価する。受講態度も考慮する(約10%)。
試験の結果に関しては、平均点、標準偏差等のデータを開示する。

準備学習(予習・復習等)

【授業時間外に必要な学習時間:30時間】
予習:本科目を受講する前にまず高校と教養課程の生物学と化学をしっかりマスターしてください。特に高校時代、生物学を履修しなかった方は教養課程の生物学教科書を熟読し、基本用語に慣れてください。講義が始まったら、予習としては各回の講義内容に該当する配布資料や教科書の部分を通読し、専門用語についてはその定義を理解してください。
復習:最低、配布プリントの内容を完全に理解し、できたら参考書や関連科目の教科書の関係する部分も学習し、複合的な理解に努めてください。複数の成書にあたる方が、より正確で深い理解につながります。

その他注意事等

生理学は高校で履修する生物学と最もオーバーラップし、獣医学系専門科目の導入部としても重要です。高等動物の正常機能に特化して内容を深めます。獣医学に限らず生命科学全般において、日々行なわれている研究により新たな知識が増え、それに伴い知っておくべき用語等がどんどん増えていきます。生理学の学習では常に、メカニズムの理解とその意義は何かを考えることを念頭において取り組んでください。合理的思考法と想像力を培い、またいろいろと疑問を持ち、遠慮なく教員に質問してください。そうすることが主体性と学習意欲を高めます。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書デュークス獣医生理学 第13 版鈴木浩悦(監修)学窓社
教科書自作プリント
参考書教養課程の生物学教科書
参考書生理学テキスト 第9版大地陸男文光堂
参考書標準生理学 第9版本間研一(監修)医学書院