英文名 | Science of Feed | |
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科目概要 | 動物資源科学科3年後期 [月曜日2時限(週1コマ)]、3群科目、選択、講義、2単位(30時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎濱野 美夫 | |
講義室 | 111講義室 | |
備考 | 科目ナンバリング:VZ301-FM17 |
飼料は動物の栄養素の供給源であり、畜産物を得るための原料ともいえる。その種々の飼料を適切に組み合わせて実践的に利用できるよう、代表的な飼料資源の栄養的特徴とともに飼養標準の意義と活用方法、飼料の安全性を確保するための法律や仕組みを理解する。これらを踏まえ、飼料の適切な取り扱いに必要な知識と理論を修得することと、家畜の生産性や畜産物の品質改善に向けた飼料設計の創意工夫ができる考察力を養う。
飼料学は大きく5つの授業内容から構成される。1つ目は、飼料とはどのような条件のものを指すのか、どんな区別・特徴があるのかについて説明する(第1回)。2つ目には、どのような形体や組み合わせ等で飼料を家畜に与えればよいのか、飼養標準や飼料添加物の取り扱いなど、その基本概念を解説する(第2回〜第6回)。3つ目は飼料の自給に重要な粗飼料の生産・調製技術と方法を取り上げて説明する(第7回〜第8回)。これらを踏まえて4つ目には、実際の飼料の設計・計算の実際を演習方式で解説する(第9回〜第10回)。最後に飼料を安全に取り扱い流通させるための法令・制度や組織、公定規格ならびに飼料添加物、有害物質について説明する(第11回〜第14回)。
(1)指定教科書に加えて、パワーポイントのスライドと配付資料を活用しながら講義形式で授業を進める。
(2)形態の異なる各種飼料の見本を授業の間に回覧し、飼料の実物を手にとって観察することで理解を深めるようにする。
(3)自給飼料の生産や調製に使用される各種の農業機械の動作はビデオ画像・静止画像を投影して実際の利用風景がイメージできるように解説する。
(4)飼料設計の計算方法を演習方式でおこなう。さらに理解度を確認するために練習問題を課し、解答と併せて解説する。
(5)レポートは回収し内容を教員が確認する。後日、授業時間にレポートを返却し授業中に解答・意見や解説について受講者全員にコメントする。
◎DP 2:動物資源の開発・利用を発展させるための専門的技能、能力
○DP 3:動物福祉の重要性を理解し、人と動物の関係や周辺環境の向上に貢献できる能力
○DP 5:生命科学に関する専門知識を生かし、人と動物の健康に寄与する能力
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | 飼料の条件 / 飼料の分類および種類 | 飼料に求められる条件、飼料の分類および種類、取扱上の特徴 | 濱野 美夫 |
2 | 対象動物と給与飼料 | 各動物種の食性と飼育ステージに応じた飼料の形体や取扱い | 濱野 美夫 |
3 | 飼料の給飼法と栄養素の供給 | 不断給飼、制限給飼等の給与方式と栄養素供給(要求量)の概念 | 濱野 美夫 |
4 | 飼養標準の活用 | 飼養標準の意義と種類、表示内容、消化率、栄養価の評価法と表示 | 濱野 美夫 |
5 | 飼料設計の概念と飼養標準の使用 | 必須アミノ酸、必須脂肪酸等の給与概念、タンパク質飼料、エネルギー飼料の取扱い、ビタミンAコントロール | 濱野 美夫 |
6 | 飼料添加物の分類と利用 | 飼料添加物の構成、用途・機能 | 濱野 美夫 |
7 | 粗飼料生産の仕組みと技術(牧草・放牧) | 飼料作物の分類、採草地と放牧地、牧草の播種・刈取り調製、乾草、サイレージ | 濱野 美夫 |
8 | 粗飼料生産の仕組みと技術(青刈り作物) | デントコーンの栽培と収穫・調製、収穫適期、ミルクライン、乳酸発酵 | 濱野 美夫 |
9 | 飼料の配合設計と計算の実際(手計算による方法) | 手計算による配合割合の計算 | 濱野 美夫 |
10 | 飼料の配合設計と計算の実際(線型計画法による計算) | 線形計画法、エクセル・ソルバー機能による計算法 | 濱野 美夫 |
11 | 飼料の安全を確保するシステム | 法令、飼料安全法、食品安全委員会、リスク評価、飼料の適正製造規範 | 濱野 美夫 |
12 | 飼料の品質と品質管理 | 義務表示、品質表示、安全表示、表示票、飼料添加物、A/B飼料、サイレージの品質評価 | 濱野 美夫 |
13 | 飼料の公定規格と飼料添加物 | 公定規格設定飼料、規格適合表示、抗菌性物質の種類と使用制限、薬剤耐性菌 | 濱野 美夫 |
14 | 飼料に含まれる有害物質 / 授業全体のまとめ | 植物の二次代謝産物、フィチン酸、カビ毒、有毒微生物 | 濱野 美夫 |
(1)代表的な飼料資源の栄養的特性とともに飼養標準・栄養素要求量の概念が理解できる。(※ 知識・技能)
(2)粗飼料の自給生産・調製方法の原理、手順が理解できる。(※ 知識・技能)
(3)動物種の食性を判断し、適切な飼料原料を選択した上で飼料配合の基本設計と計算ができる。(※思考・判断・表現)
(4)飼料の利用にあたって留意すべき点を法令・規制等に基づいて説明できる。(※ 思考・判断・表現)
(5)上記の目標を踏まえて、畜産物の生産性・品質の改善に向けた飼料資源や機能成分の有効利用や応用の方法や在り方について提案し討議できる。(※ 関心・意欲・態度)
(1)定期試験と課題提出で到達目標が達成できているかどうかを判定する。(割合:定期試験 80%;課題提出 20%)
(2)課題提出では、飼料設計の問題を提示するが、飼料の取り扱いや計算手順の原理も含めた理解度がわかるようなレポート(解答・記述)を求める。
(3)学生便覧に記載の「北里大学獣医学部試験細則」における第5条のほかに、授業総回数の3分の2以上を出席していても無断欠席1回あたり5点を定期試験の採点結果から減点し、これを最終評価の点数とする。
【授業時間外に必要な学習の時間:60 時間】
予習:指定教科書「動物の飼料」を各自購入して、各回の授業内容に関連する箇所を事前配付の資料とともに目をとおし、概要と専門用語の理解を予め行っておくこと。不明な点などがあれば、オフィスアワーやメールを利用して、積極的に質問すること。図書館に飼料学に関する図書があるので使用すること。
復習:配付資料と教科書を講義後に見直し、予習時の誤解や不明瞭さ等をなくしつつ内容をまとめること。その際、授業内容の理解度がどの程度かを把握すること。不明な点がある場合は、参考書等を使って自ら調べ、さらにわからなければ積極的に質問すること。
予習・復習時には、2年次の動物栄養学、動物栄養学実習、分析化学、食品科学、動物飼育管理学の内容を振り返り、関連づけて理解するよう努めること。
皆さんが食べている卵、牛乳や肉類などの畜産物は家畜がどのような飼料を食べて安全にかつ合理的に生産されているのかに興味をもって受講して下さい。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 動物の飼料 | 唐沢 豊 / 菅原 邦生 / 神 勝紀 編 | 文永堂出版 |
教科書 | 配付プリント | ||
参考書 | 基礎家畜飼養学 | 基礎家畜飼養学 亀高政夫 他3名共著 | 養賢堂 |
参考書 | 動物飼養学 | 石橋 晃・板橋久雄・祐森誠司・松井 徹・森田哲夫 編著 | 養賢堂 |