英文名 | Veterinary Anesthesiology and Critical Care | |
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科目概要 | 獣医学科4年後期 [火曜日3時限(週1コマ)]、3群科目、必修、講義、1単位(15時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎左近允 巌※、 岡野 昇三※ | |
講義室 | B11講義室 | |
備考 | 科目ナンバリング:VV301-GC46 |
1) 小動物の獣医臨床に必要な鎮静薬および全身麻酔の薬理作用を理解し、安全な麻酔および周術期管理を行うための知識を習得する。
2) 様々な疾病や外傷および周術期において生じる患者の生命を脅かす様々な病態を理解し、それに対して行われる救命処置の知識を習得する。
麻酔とは、各種の外科的手技または動物を不動化する必要がある際に行われる手技である。麻酔には、主に注射薬と吸入麻酔薬の投与によって行われる鎮静と全身麻酔があり、これに加えて周術期における鎮痛処置も麻酔に含まれる。一方、麻酔薬投与後の動物には様々な副作用が発現するため、生体情報(体温、心拍数、血圧等)のモニター方法や副作用に対する対処法を習得する必要がある。また、救急医療とは、患者の生命を脅かす様々な事象に対して対処するための手技である。救急医療には、生体情報のモニター法や薬物の使用方法等において麻酔と共通する部分が多く、麻酔時のトラブルによって必要になることが多い。本講義では、麻酔薬の作用機序や使用方法、生体情報のモニター法とそこから得られた数値の読み方、救命救急に必要な基本的手技について講義を行う。
配布資料およびパワーポイントを用い、講義形式で進める。
各麻酔薬に対する生体の反応や麻酔器の操作方法等を、積極的に動画を用いることでその作用と機構に対する理解を深める。
○DP1: 生命科学の理解と高い教養及び倫理観の習得
◎DP2: 動物の病気の診断・治療・予防に関する知識を持ち、適切に実践できる能力
○DP5: 野生動物の保全に寄与する能力
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | 授業の概要説明 麻酔前の身体検査と評価法 | 麻酔前における身体的および血液生化学的検査の実施方法と評価方法、ASA分類に基いた麻酔に対する患者のリスク評価、患者の状態に応じた麻酔方法の選択 | 左近允 巌 |
2 | 麻酔中における生体情報のモニタリング方法 | 五感による呼吸、循環器系指標および麻酔深度のモニタリング方法、生体情報モニターによる呼吸および循環器系パラメーターの読み方 | 左近允 巌 |
3 | 麻酔前投薬 | 麻酔前投与薬の種類と使用目的、麻酔前投与薬の作用機序と使用方法 | 左近允 巌 |
4 | 注射麻酔法Ⅰ | 注射麻酔薬の種類 (マイナートランキライザー、麻酔導入薬)、各注射麻酔薬の作用機序と副反応 | 左近允 巌 |
5 | 注射麻酔法Ⅱおよび局所麻酔法 | 麻薬系および非麻薬系鎮痛薬の種類、作用機序および副反応、局所麻酔薬の分類と作用機序、局所麻酔薬を使用した鎮痛法の種類と実施方法、局所麻酔薬による副作用と有害事象への対処法 | 左近允 巌 |
6 | 吸入麻酔法Ⅰ | 吸入麻酔装置の構造と使用方法、吸入麻酔に関連する給気および排気システムの理解、各種麻酔薬の種類と特徴 | 左近允 巌 |
7 | 吸入麻酔法Ⅱ | 人工呼吸器の構造と使用方法、人工呼吸法の種類と適用方法、吸入麻酔による有害事象の種類と対処法 | 左近允 巌 |
8 | 救急医療学総論 | トリアージ、初期対応 | 岡野 昇三 |
9 | 急性中毒総論 | 検査、動物の安定化、催吐剤、解毒剤 | 岡野 昇三 |
10 | 急性中毒各論 | 除草剤、殺鼠剤、医薬品、自然毒 | 岡野 昇三 |
11 | 救急疾患1 | 循環器系(心タンポナーデ、血栓症) | 岡野 昇三 |
12 | 救急疾患2 | 呼吸器系(呼吸困難、肺水腫) | 岡野 昇三 |
13 | 救急疾患3 | 消化器系(胃拡張捻転症候群、腸閉塞) | 岡野 昇三 |
14 | 救急疾患4 | 泌尿器系(膀胱破裂、尿閉)、神経系(痙攣、頭部外傷) | 岡野 昇三 |
15 | まとめ | 小テスト、解説 | 岡野 昇三 |
1) 麻酔前における身体的評価方法を説明することができる。
2) 麻酔中における呼吸、循環器および麻酔深度の評価法を説明することができる。
3) 注射麻酔薬および吸入麻酔薬の種類と薬理作用を説明することができる。
4) 注射麻酔薬および吸入麻酔薬の使用方法と副作用を説明することができる。
5) 注射および吸入麻酔に伴う有害事象への対処法を説明することができる。
6)救急疾患に対する初期対応を説明できる。
7)急性中毒の対処法を説明できる。
8)代表的な救急疾患の対処法を説明できる。
1) 定期試験の成績で評価する(100%)。
【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】
予習:麻酔薬の作用機序および呼吸循環器へ与える作用を理解するためには、薬理学および生理学の知識が必要となる。特に生理学における呼吸、体温および循環器の恒常性維持、薬理学における迷走神経遮断薬、昇圧剤および降圧剤の種類や作用機序等を予習しておくこと。
復習:各回の講義前に配布されたハンドアウトに再度目を通し、かつ講義中に生じた疑問点や理解できなかった部分は薬理学および生理学の教科書を再度見直すことで理解するよう努めること。
実務経験の授業への活用方法:本学附属小動物臨床センターにおける各種手術およびその周術期管理から得られた臨床経験を踏まえ(整形外科および神経外科:左近允、軟部外科:岡野)、麻酔の作用機序や使用方法および救命救急における基本的な手技と使用薬物を説明する。オフィスアワーは平日の午後3:30以降です(会議等で不在の場合を除く)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 毎回、資料を配布する | ||
参考書 | 獣医臨床麻酔学 | 日本獣医麻酔外科学会編 | 学窓社 |
参考書 | 犬と猫の救急治療のABC | 岡野昇三 | インターズー |
参考書 | 犬と猫の救急医療プラクティス | 岡野昇三 監修 | 緑書房 |