英文名 | Fundamentals of Radiology | |
---|---|---|
科目概要 | 獣医学科3年後期 [金曜日1時限(週1コマ)]、3群科目、必修、講義、1単位(15時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎夏堀 雅宏※、 和田 成一※、 柿崎 竹彦※ | |
講義室 | B21講義室 | |
備考 | 科目ナンバリング:VV301-GS33 |
獣医師は、動物の医療や獣医学の研究において、放射線や放射能(RI)を扱う機会が多い。このため、効果的に放射線や放射能を利用するための知識だけでなく、安全にこれらを扱うための知識をもつことが、社会的に強く要求されている。そのため、放射線の物理・化学的性質と生物学的影響を十分に理解し、これを基礎として、放射能の測定や放射線による生物影響、環境汚染とその対策、画像診断学や放射線治療の基礎について学ぶ。最近では、放射線を用いた医療機器の種類も増加しており、関連する情報は増える一方なので、限られた時間内で効果的・効率的に学習するために、予習と復習が要求される。
コアカリキュラム準拠の教科書に加えて,獣医診療に必要とされる画像診断学,放射線生物学,放射線治療学の基礎となる放射線とその物理・化学生物学的性質について学ぶ。また,放射線による被ばくや,無用な被ばく事故を防ぐための放射線防護と線量測定など、その背景となる知識を習得するための講義である。
【主に教科書および事前配布資料等に基づく講義形式】
スライド配布資料とともに,外部施設での研究経験,海外留学や海外でのレジデント経験,国内二次診療施設及び本学附属獣医教育病院での勤務経験を交えて講義を行う。
【課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法】
講義時間が限られているため,予習・復習のための講義資料、参考資料、練習問題等の提示は主にWebClassを活用する。
◎DP1:生命科学の理解と高い教養及び倫理観の習得
○DP2:動物の病気の診断・治療・予防に関する知識を持ち、適切に実践できる能力
○DP3:食品の安全性の確保と供給に資する能力
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
---|---|---|---|
1 | 放射線の物理学1 | 放射線の種類、放射線と放射能、原子の構造、X線の発生、等 | 夏堀 雅宏 |
2 | 放射線の物理学2 | X線(ガンマ線)と物質の相互作用、放射線の物理作用、等 | 夏堀 雅宏 |
3 | 放射能の化学 | 放射性同位体と安定同位体、放射能(単位)、核異性体転移、放射平衡、等 | 和田 成一 |
4 | 測定技術1 | 放射線の単位、測定法の種類と原理、測定原理 | 和田 成一 |
5 | 測定技術2 | 放射能の減衰補正、被ばく線量評価、遮蔽計算、等 | 和田 成一 |
6 | 放射線生物学1 | 分子レベルの変化、DNAの傷害と修復 | 和田 成一 |
7 | 放射線生物学2 | 細胞レベルの放射線傷害とそのメカニズム | 和田 成一 |
8 | 放射線生物学3 | 組織・器官レベルの放射腺影響、個体レベルの放射線影響、遺伝的影響 | 和田 成一 |
9 | 放射線生物学4 | LSS、LNT仮説 とALARA | 和田 成一 |
10 | 放射線治療概論1 | 腫瘍の放射線感受性,正常組織の耐容線量 | 和田 成一 |
11 | 放射線治療概論2 | 放射線治療に用いる放射線の特性とその照射技術 | 和田 成一 |
12 | 核医学概論 | in vitroおよびin vivo核医学診断の基礎 、核医学診断に用いる放射性薬剤、シンチグラフィ、核医学治療の基礎 | 柿崎 竹彦 |
13 | 放射線防護 | 放射線防護概論、畜産物の放射能汚染、集団積算線量とリスク評価 | 夏堀 雅宏 |
14 | 放射線応用技術 | 放射線・放射能利用技術と生物学・農学への応用 | 夏堀 雅宏 |
15 | 総括および総合討論 | これまでの講義内容についての総括、質疑応答およびディスカッション | 夏堀 雅宏 |
授業では、主として重要項目の解説を行うが、教科書の中の指定範囲は自習により重要なキーワードを含む専門用語を理解し説明できることが要求される。また、放射線・放射能の概念と放射線に関連するさまざまな単位を理解し、基礎的な計算問題ができるよう準備された練習問題を自力で解くことが求められる。具体的には、放射性物質の減衰計算とその根拠,体内の放射性物質とそれによる被ばく線量の計算,法律に基づいてX線装置の届け出するための遮蔽計算や診療所からの漏洩線量計算が例題として示される。
定期試験100%×出席率(最低2/3)で評価する。このために満点は出席率100%であることが求められる。
ただし履修開始前までに、毎年実施される第一種放射線取扱主任者の国家試験を受験し、この試験に合格した者については、その旨を合格者証と共に科目責任者へ申告することで、無試験で合格(優での単位取得)とする(授業への出席は必要)。
予習:教科書を各自購入し、配布資料と共に授業前に予め各項目を読み,理解できるところと理解が難しいところについてリストアップしておくことが必要である。
復習:予習や講義で不明の点があったら、担当教員に直接質問するか、メール等を利用して質問することで問題点を解決する。
授業時間外に必要な学習の時間:最低30時間
講義資料・参考資料等は予めWebClassに掲載予定。
放射線を過度に怖がることや、あるいは全く安全に気を配らずにいることは、何れも無知の結果である。放射線学は難しいと決めつけず、積極的に質問したり、副教材を使ったりして勉強して頂きたい。理解が進めば、暗記しなければならない項目は少ない。理解には少し時間がかかるので、分からないことがあったらそのままにせず、積極的に質問して欲しい。獣医師がX線や放射線の利用を法的に許される前提として、および動物病院での雇用者や飼い主への説明責任が獣医師に要求されるために、獣医大学で基礎放射線学が開講されていることをよく理解して頂きたい。実務経験の授業への活用方法:放射性同位元素(RI)や放射線を利用した安全取扱や先端的な研究例の紹介や安全管理の実務例、あるいは臨床例の紹介等を交えて講義をおこなう。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | 獣医学教育コアカリキュラム対応:放射線生物学 第二版 | 獣医放射線学教育研究会 (編集) | 近代出版 4,400円 |
参考書 | 放射線基礎医学(第12版) | 菅原努 監修 | 金芳堂 |
参考書 | 放射線リスクに関する基礎的情報 2023年1月(第13版) | 復興庁 | https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-1/20140603102608.html |
参考書 | 日本獣医師会 放射線診療技術支援 e-learning system | 日本獣医師会 編 | http://nichiju.lin.gr.jp/x-ray/ |
参考書 | やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識 http://www.gakushuin.ac.jp/ ~881791/radbookbasic/rbb20130117.pdf | 田崎 晴明 | インターネット(フリー教材) 製本版 |
参考書 | 図説ハンドブック 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 「放射線の基礎知識と健康影響」(令和3年度版)上巻 | 環境省 https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r3kisoshiryo.html | https://www.env.go.jp/content/900410899.pdf |
参考書 | 図説ハンドブック 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 「東京電力福島第一原発事故とその後の対応」(令和3年度版)下巻 | 環境省 https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r3kisoshiryo.html | https://www.env.go.jp/content/900410900.pdf |