Web Syllabus(講義概要)
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海棲哺乳動物学
英文名Marine Mammalogy
科目概要獣医学科4年前期 [集中(週1コマ)]、2群科目、選択、講義、1単位(15時間)
担当者(◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎天野 雅男
講義室B11講義室
備考科目ナンバリング:VV201-VB42

授業の目的

海棲哺乳動物について必要な知識を正確に学び、獣医として必要な基礎的素養を身につけることを、教育の目標とします。

教育内容

海棲哺乳類の進化と適応、生態、社会、人との関わりについて解説します。

教育方法

パワーポイントと配布資料を用いて講義形式ですすめます。
レポートは評価とコメントを付して返却します。

卒業・学位授与の方針と当該科目の関連

〇DP1:生命科学の理解と高い教養及び倫理観の習得
◎DP2:動物の病気の診断・治療・予防に関する知識を持ち、適切に実践できる能力
 DP3:食品の安全性の確保と供給に資する能力
 DP4:医薬品の開発に寄与する能力
 DP5:野生動物の保全に寄与する能力
 DP6:人獣共通感染症の制圧に寄与する能力

授業内容(シラバス)

項目内容担当者
1進化と系統分類:鯨類鯨類の進化傾向とその系統分類について、これまでに得られている古生物学的知見、分子系統学的知見をもとに解説します。天野 雅男
2進化と系統分類:鰭脚類、海牛類、その他の海棲哺乳類食肉目鰭脚類、海牛類、ホッキョクグマ、ラッコの進化傾向とその系統分類について、これまでに得られている古生物学的、分子系統学的な知見をもとに解説します。天野 雅男
3水生適応:体温調節、潜水生理、浸透圧調節海棲哺乳動物は、海中生活への移行に伴いさまざまな問題に直面し、それを解決してきました。体温保持、酸素保持、水分保持の問題をいかに解決してきたかを解説します。天野 雅男
4感覚:視覚、嗅覚、味覚、触覚海中は陸上とは全く異なった環境です。その環境を的確に認識するため、海棲哺乳動物の感覚には大きな変化が起こりました。視覚、嗅覚、味覚、触覚受容器の構造とその機能について解説します。天野 雅男
5感覚:聴覚と発声:エコーロケーションとコミュニケーション海中は、環境の認識やコミュニケーションのために視覚や嗅覚などを利用することが難しい環境です。海棲哺乳動物には、それらの代わりに聴覚を用いるものが出現しました。聴覚受容器と発音器の構造とその機能、音声コミュニケーションについて解説します。天野 雅男
6運動と骨格、筋肉空気より密度や粘度が高い水中では、移動コストをいかに下げるかが重要になります。それぞれの海棲哺乳動物が採用した運動方式と、それにともなって生じた骨格や筋肉の変化について解説します。天野 雅男
7食性と採餌生態:鯨類海中という特殊な環境でいかに効率よく餌を捕らえるかという問題を、鯨類がどのように解決してきたかを解説し、その採餌戦略が鯨類の進化に及ぼした影響について考えます。天野 雅男
8食性と採餌生態:鰭脚類、海牛類、その他の海棲哺乳動物鯨類以外の海棲哺乳動物も、さまざまな食性と採餌方法を進化させてきました。彼らの採餌戦略とその進化について解説します。天野 雅男
9海棲哺乳動物による生態系への影響生態系の頂点に位置する海洋哺乳動物は、食物網を介したトップダウン影響や生物ポンプとしての効果など、生態系に大きな影響を及ぼしていることが理解されるようになってきました。これらの影響について解説し、その役割を考えます。天野 雅男
10繁殖生態海棲哺乳動物には、繁殖(交尾と出産)を陸上あるいは氷上で行うものと、水中で行うようになったものが存在します。両者では繁殖生態が大きく異なっています。その違い、また鯨類に見られる多様な繁殖戦略について解説します。天野 雅男
11生活史海棲哺乳動物にはさまざまな生活史のパターンが見られます。それらを解説し、それぞれの種の生活史がどのような要因で決まっているのかを考えます。天野 雅男
12社会構造海棲哺乳動物の個体間関係と社会について解説します。特にハクジラ類の社会構造には、霊長類に匹敵する大きな多様性が見られます。その進化の要因を考えます。天野 雅男
13社会行動と文化海棲哺乳動物に見られる個体間交渉について解説します。特に鯨類では、社会的学習により水平・垂直に伝播する文化的行動が広く見られることが分かってきました。それらを紹介し、その意義について考えます。天野 雅男
14海棲哺乳類への人為影響海棲哺乳動物は、直接的な捕獲の他、混獲、生息地の破壊や環境の悪化などさまざまな人為影響にさらされています。それらを概観し、影響を低減する方策について考えます。天野 雅男
15利用の歴史と保護管理鯨類をはじめとする海棲哺乳動物には長い利用の歴史があり、過度の利用により絶滅したり、大きく数を減らした種や個体群が存在します。その反省に立って保護管理の方策が立案されてきました。その歴史を解説し、今後の保護管理のあり方を考えます。天野 雅男
No. 1
項目
進化と系統分類:鯨類
内容
鯨類の進化傾向とその系統分類について、これまでに得られている古生物学的知見、分子系統学的知見をもとに解説します。
担当者
天野 雅男
No. 2
項目
進化と系統分類:鰭脚類、海牛類、その他の海棲哺乳類
内容
食肉目鰭脚類、海牛類、ホッキョクグマ、ラッコの進化傾向とその系統分類について、これまでに得られている古生物学的、分子系統学的な知見をもとに解説します。
担当者
天野 雅男
No. 3
項目
水生適応:体温調節、潜水生理、浸透圧調節
内容
海棲哺乳動物は、海中生活への移行に伴いさまざまな問題に直面し、それを解決してきました。体温保持、酸素保持、水分保持の問題をいかに解決してきたかを解説します。
担当者
天野 雅男
No. 4
項目
感覚:視覚、嗅覚、味覚、触覚
内容
海中は陸上とは全く異なった環境です。その環境を的確に認識するため、海棲哺乳動物の感覚には大きな変化が起こりました。視覚、嗅覚、味覚、触覚受容器の構造とその機能について解説します。
担当者
天野 雅男
No. 5
項目
感覚:聴覚と発声:エコーロケーションとコミュニケーション
内容
海中は、環境の認識やコミュニケーションのために視覚や嗅覚などを利用することが難しい環境です。海棲哺乳動物には、それらの代わりに聴覚を用いるものが出現しました。聴覚受容器と発音器の構造とその機能、音声コミュニケーションについて解説します。
担当者
天野 雅男
No. 6
項目
運動と骨格、筋肉
内容
空気より密度や粘度が高い水中では、移動コストをいかに下げるかが重要になります。それぞれの海棲哺乳動物が採用した運動方式と、それにともなって生じた骨格や筋肉の変化について解説します。
担当者
天野 雅男
No. 7
項目
食性と採餌生態:鯨類
内容
海中という特殊な環境でいかに効率よく餌を捕らえるかという問題を、鯨類がどのように解決してきたかを解説し、その採餌戦略が鯨類の進化に及ぼした影響について考えます。
担当者
天野 雅男
No. 8
項目
食性と採餌生態:鰭脚類、海牛類、その他の海棲哺乳動物
内容
鯨類以外の海棲哺乳動物も、さまざまな食性と採餌方法を進化させてきました。彼らの採餌戦略とその進化について解説します。
担当者
天野 雅男
No. 9
項目
海棲哺乳動物による生態系への影響
内容
生態系の頂点に位置する海洋哺乳動物は、食物網を介したトップダウン影響や生物ポンプとしての効果など、生態系に大きな影響を及ぼしていることが理解されるようになってきました。これらの影響について解説し、その役割を考えます。
担当者
天野 雅男
No. 10
項目
繁殖生態
内容
海棲哺乳動物には、繁殖(交尾と出産)を陸上あるいは氷上で行うものと、水中で行うようになったものが存在します。両者では繁殖生態が大きく異なっています。その違い、また鯨類に見られる多様な繁殖戦略について解説します。
担当者
天野 雅男
No. 11
項目
生活史
内容
海棲哺乳動物にはさまざまな生活史のパターンが見られます。それらを解説し、それぞれの種の生活史がどのような要因で決まっているのかを考えます。
担当者
天野 雅男
No. 12
項目
社会構造
内容
海棲哺乳動物の個体間関係と社会について解説します。特にハクジラ類の社会構造には、霊長類に匹敵する大きな多様性が見られます。その進化の要因を考えます。
担当者
天野 雅男
No. 13
項目
社会行動と文化
内容
海棲哺乳動物に見られる個体間交渉について解説します。特に鯨類では、社会的学習により水平・垂直に伝播する文化的行動が広く見られることが分かってきました。それらを紹介し、その意義について考えます。
担当者
天野 雅男
No. 14
項目
海棲哺乳類への人為影響
内容
海棲哺乳動物は、直接的な捕獲の他、混獲、生息地の破壊や環境の悪化などさまざまな人為影響にさらされています。それらを概観し、影響を低減する方策について考えます。
担当者
天野 雅男
No. 15
項目
利用の歴史と保護管理
内容
鯨類をはじめとする海棲哺乳動物には長い利用の歴史があり、過度の利用により絶滅したり、大きく数を減らした種や個体群が存在します。その反省に立って保護管理の方策が立案されてきました。その歴史を解説し、今後の保護管理のあり方を考えます。
担当者
天野 雅男

到達目標

海棲哺乳動物について生物学的な特徴と水生適応について具体的に説明できる。
「人間と野生動物との共存に関する課題」について考え、対応策について立案できる。

評価方法

授業内容に基づく3回の課題レポートで評価します(100%)。レポートは授業内容が的確にまとめられているか、課題に対して、学んだ知識を基礎にして論理的に答えられているかで評価します。

準備学習(予習・復習等)

【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】
予習:事前に配布した資料、参考書などをよく読んで十分な準備をして下さい。
復習:授業後に当日の授業内容を整理してレポートにまとめて下さい。 

その他注意事等

授業内容について不明の点があれば積極的に質問をして、授業中に理解を深めて下さい。授業終了後、授業内容を的確にまとめて、自らの知識として活用できるように整理して下さい。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書用いません。
参考書Marine Mammals Evolutionary Biology A. Berta他Academic Press   約8,000円
参考書Encyclopedia of Marine Mammals B. Würsig他(編)Academic Press   約20,000円
教科書
署名
用いません。
著者・編者
発行所
参考書
署名
Marine Mammals Evolutionary Biology
著者・編者
A. Berta他
発行所
Academic Press   約8,000円
参考書
署名
Encyclopedia of Marine Mammals
著者・編者
B. Würsig他(編)
発行所
Academic Press   約20,000円