英文名 | Ecology for Satoyama (Village Forest) | |
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科目概要 | 生物環境科学科2年後期 [水曜日4時限(週1コマ)]、3群科目、必修、講義、2単位(30時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎柿野 亘※ | |
講義室 | 831講義室 | |
備考 | 科目ナンバリング:VE301-EE27 | |
JABEE認定プログラム履修の手引き(表3・14)との関連 | E |
かつて自然と人間との共生的な関係性が完成したモデルに位置づけられる里地里山において,高い生物多様性がなぜ創出されたのか,生態学的概念を用いて説明できるようになることを目指す。
里地里山の景観がどのような地形に基づいて成立しているのか把握した上で,特徴的に生息する動植物種の生態および生態に対応した生息環境について学習する。さらには,高い種多様性がどのように担保されるのか,生態学的概念を用いて説明する。
配布資料について,板書やパワーポイントによる講義形式で進める。試験後のフィードバックとして,試験解説を行う。
DP1:豊かな人間性と高い倫理観
〇DP2:環境科学に関する理解と高度の知識・技能
◎DP3:生態系機能の解明と理解を基盤に環境保全に貢献できる能力
DP4:環境資源の維持と修復に寄与する能力
DP5:環境保全に関わる社会の多様な要請に応えられる問題解決能力
回 | 項目 | 内容 | 担当者 | 日時 |
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1 | 里山の定義および地形 | 里山および里地の定義や里地里山の景観を構成する地形について説明する。 | 柿野 亘 | 9/20④ |
2 | 里山における林地の成立プロセス | 里山における二次林の成立プロセスについて説明する。 | 柿野 亘 | 9/27④ |
3 | 谷津田に生息する生きものおよび生息分布と生息環境条件との関係性 その1(魚類編) | 谷津田に生息する魚類の生息分布と生息環境条件との関係について説明する。また,環境条件と資源とのちがいについても説明する。 | 柿野 亘 | 10/4④ |
4 | 谷津田に生息する生きものおよび生息分布と生息環境条件との関係性 その2(両生類編) | 谷津田に生息する両生類の生息分布と生息環境条件との関係について説明する。 | 柿野 亘 | 10/11④ |
5 | 谷津田に生息する生きものおよび生息分布と生息環境条件との関係性 その3(淡水二枚貝類編) | 谷津田に生息する淡水二枚貝類の生息分布と生息環境条件との関係について説明する。 | 柿野 亘 | 10/18④ |
6 | 里地里山における空間的時間的な分散・移住と分布様式 | 谷底面における動植物の分散・移住について説明する。分布様式についても説明する。 | 柿野 亘 | 10/25④ |
7 | 里地里山における種内・種間競争 | 谷底面における動植物の種内。種間競争について説明する。 | 柿野 亘 | 11/1④ |
8 | 里地里山における分解者とデトリタス食者 | 物質循環の主体者たる土壌動物や菌類について説明する。 | 柿野 亘 | 11/15④ |
9 | 里地里山における寄生生物 | 寄生生物の生活環や生活史における人間や他動物との接点について説明する。 | 柿野 亘 | 11/22④ |
10 | 里地里山の生息・生育パッチとシフティングモザイク論 | 生物多様性を高める機能的概念であるシフティングモザイクについて説明する。 | 柿野 亘 | 11/29④ |
11 | 里地里山におけるレスリーモデルを用いた個体群変動 | 管理有無によって動植物の個体群はどのように変化するのか,変化予測手法について説明する。 | 柿野 亘 | 12/6④ |
12 | 里地里山における攪乱 | 攪乱の種類を説明し,中規模攪乱説を考える。 | 柿野 亘 | 12/13④ |
13 | 里地里山における生態系モデルの表現 | 食物網,生態系ピラミッドなど様々な表現のあり方を説明し,生態系の現在の状態をどのように表現できるのか,考える。偏微分方程式による質の変化や景観モデルなどを中心に。 | 柿野 亘 | 12/20④ |
14 | 総括 | 里山生態学の総括を行うととに試験対策について説明する。 | 柿野 亘 | 1/10④ |
1)里山の生態系の特徴を把握し、その保全の重要性が理解できる。
2)里山生物多様性について理解し、生態学的概念を用いた生物多様性低下の問題点の整理とその対策について説明できる。
最終試験(100点)で評価する。欠席が多い学生については、試験細則第5条を適用する。
【授業時間外に必要な学習の時間:60時間】
予習:2回目以降の講義資料を事前に配布します。この資料には引用文献を明記していますので、事前に資料に目を通して質問などを考えておいてください(予習)。このための時間として毎週30分を想定しています。
復習:2回目以降はその前の回の講義内容について小テストを実施しますので、講義内容を整理しておいてください(復習)。このための時間として毎週30分を想定しています。
実務経験の授業への活用方法:これまで投稿した論文の多くは,里地里山での生物分布に関わるものであり,また里地里山における管理方法についても内包されている。また,本科目を基礎にして取り組んだ独立行政法人水産総合研究センターでの水産庁事業の実務経験を本科目に反映した。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | (なし) | ||
参考書 | 1. 「生態学」 | M.BEGON, J.L.ARPER, C.R.TOWNSEND 堀道夫 監訳 | 京都大学学術出版会 |