英文名 | Land Use Planning | |
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科目概要 | 生物環境科学科3年前期 [水曜日3時限(週1コマ)]、3群科目、選択、講義、2単位(30時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎柿野 亘※ | |
講義室 | 841講義室 | |
備考 | 科目ナンバリング:VE301-RS32 | |
JABEE認定プログラム履修の手引き(表3・14)との関連 | B |
土地利用計画について、土地利用計画の基本理念の理解、わが国の法体系と現状、土地利用に関わる農水省,国土交通省,環境省事業事例説明の3点を理解し、状況に応じたあるべき土地利用計画を考察する能力を習得することができる。また,自然資本、地域資源をキーワードに人口減少、管理放棄される地域の将来展望について自分の考えが述べられるようになる。
土地利用計画は,国土計画から地域計画まで,様々な空間スケールの中で土地利用が取り決められており,国土保全する上で極めて重要である。しかしながら,開発の優位性など多様な問題課題が挙げられている。本科目では,あるべき体系を踏まえながら,これらの問題課題を整理して,説明する。また,耕作放棄地から荒廃地に遷移するプロセスによって,荒廃地面積が拡大している問題下において,土地の捉えられ方はどのように変化するのか理解することが近年の土地利用計画上,最も深刻な問題のひとつであることを明らかにする。さらに土地利用計画の枠組みの中での生態系保全が具体的にどのように位置づけられているのかを明らかにする。
板書とパワーポイントを活用しながら講義形式ですすめる。課題を出した回の翌週に課題の中の特徴的な見解や誤解についてコメントし,補足説明を行う。
DP1:豊かな人間性と高い倫理観
DP2:環境科学に関する理解と高度の知識・技能
DP3:生態系機能の解明と理解を基盤に環境保全に貢献できる能力
◎DP4:環境資源の維持と修復に寄与する能力
〇DP5:環境保全に関わる社会の多様な要請に応えられる問題解決能力
回 | 項目 | 内容 | 担当者 | 日時 |
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1 | 土地利用計画に係る体系(キーワード:国土交通省,国土計画) | ①わが国の土地利用の課題と展望について,土地利用の課題について理解する。 | 柿野 亘 | 4/5③ |
2 | 中山間地域と都市近郊の土地利用計画と担い手についての現状(キーワード:法制度,農地中間管理機構) | 中山間地域および都市近郊の土地利用計画における,近年の農地の扱いや担い手の現状について理解する。 | 柿野 亘 | 4/12③ |
3 | わが国の国土利用計画と土地利用計画(キーワード:全国総合計画,上位・下位法) | 戦後1945年~現在までの全国総合計画、国土形成計画法と土地利用計画を理解する。 | 柿野 亘 | 4/19③ |
4 | 国土計画に係る法律や計画におけるフレームワーク(キーワード:枠組,国土利用計画,土地利用計画)その1 | 国土計画実施の流れ,事業の流れについて説明する。 | 柿野 亘 | 4/26③ |
5 | 国土計画に係る法律や計画におけるフレームワーク(キーワード:各法律の関係,枠組み)その2 | 国土計画実施の流れに基づいた,関連法どうしの関係について説明する。 | 柿野 亘 | 5/10③ |
6 | 都市地域と農業地域の管理 | 国土交通省が管轄する個別規制法と地域の説明と管理内容について説明する。また,農林水産省が管轄する個別規制法と地域の説明と管理内容について説明する。 | 柿野 亘 | 5/17③ |
7 | 森林地域,自然公園地域,自然保全地域の管理 | 林野庁が管轄する森林地域での森林計画制度を介した管理内容について説明する。また,環境省が管轄する自然公園地域の公園計画および保護規制計画に基づいた管理内容について説明する。さらに,自然保全地域における規制ついて説明する。 | 柿野 亘 | 5/24③ |
8 | 中山間地域の多面的機能を保全するための事業(キーワード:中山間地域直接支払制度,多面的機能支払交付金,里地里山保全条例) | 複数の多面的機能保全に係るソフト事業について説明する。また,農地の集団化や農道について説明する。 | 柿野 亘 | 5/31③ |
9 | グリーンインフラ概念 | 近年,社会資本整備および土地利用の両面に新たに位置づけられたグリーンインフラの取り組みについて説明する。 | 柿野 亘 | 6/7③ |
10 | 自然資本からみた中山間地域の外部性(キーワード:生態系サービス) | 生態系サービスとは何か? 時代背景との関係が理解できるように説明する。 | 柿野 亘 | 6/14③ |
11 | 水田,水路の管理放棄からみる土地利用変化と生態系の変質 | 耕作放棄された水田に始まり,土地の管理放棄面積が増加するプロセスの中で,かつての水路・水田生態系はどのように変質するのか,考える。 | 柿野 亘 | 6/21③ |
12 | 水田の生物多様性機能 | 水田耕作を介して成立する生態環境を確認し,水田の依存種について考える。 | 柿野 亘 | 6/28③ |
13 | ラムサール条約における湿地利用について | 湿地の定義と湿地における生態環境活用について説明する。 | 柿野 亘 | 7/5③ |
14 | 総括 | 学習を振り替って,今後の展望を考える。 | 柿野 亘 | 7/12③ |
①土地利用の計画の基本が理解できる
②国土利用計画の体系が理解できる
③土地利用計画策定プロセスが理解できる
④環境と開発を考えた開発計画が理解できる
⑤土地利用計画と経済活動の相互作用が理解できる。
⑥生態系サービスの土地利用計画における取り扱いについて説明できる。
【評価種別】定期試験で評価する。但し,欠席が多い場合は,試験細則第5条を適用する。
【割合】定期試験100%
【評価基準】現在の土地利用計画学上の問題課題が整理でき,説明できること。
【授業時間外に必要な学習の時間:60時間】
予習:講義で事前配布する文献資料をよく読み,整理したことや不明点・疑問点を明文化する。
復習:講義内容との整合可否に基づいて,予習で明文化した内容が解消されたか否かを確かめる。
実務経験の授業への活用方法:環境計画学,土地利用計画学:NPO法人民間稲作研究所および神奈川県農地課において従事した地域計画立案および実践した経験を活かし,中山間地域における土地の利活用および地域住民との関わり方について本講義に反映する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教員が作成し,毎回配布する。 | ||
参考書 | 土地利用計画を使おう(活用の手引き) | 土地利用基本計画の利用に関する | 研究会国土交通省 |
参考書 | 土地利用計画を作ろう(作成の手引き) | 土地利用基本計画の策定に関する | 研究会国土交通省 |
参考書 | デザイン・ウイズ・ネーチャ I.L.マクハーグ | 集文社 | |
参考書 | FAO Guidelines for Land Use Planning | ||
参考書 | 包括的「富」報告書 | 国連大学 | 赤石書店 |