英文名 | Veterinary Physiology Ⅰ | |
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科目概要 | 獣医学科1年後期 [金曜日3・4時限]、3群科目、必修、講義、1単位(15時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎久留主 志朗 | |
講義室 |
授業の目的:
生理学は、個体レベルでの様々な機能が、生体内のどの器官が関わり、それぞれがどう協調して発現しているのかを学ぶ学問です。獣医生理学は、獣医学の基礎科目として1 年後期と2 年前後期に5 単位が配当される質、量ともに大きい科目です。上級学年では薬理学、病理学、そして内科学、というようにさらに獣医学の実際に即した、専門性の高い科目を学んでいきます。したがって獣医生理学で動物の正常機能の機構を理解することは、専門的な獣医学を学ぶための基礎となります。動物の、共通するあるいは特殊な生理機能についての基礎的な知識を習得が究極の到達目標でありますが、その一方で知識の暗記に終始せず、科学全般に必要な合理的思考と想像力を高めることも目標とします。
教育内容:
獣医生理学講義(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)では、高等動物の個体レベルで発現する様々な機能系を扱いますが、1 年時後期のⅠでは、まず始めに細胞レベルの生理学概論をホメオスタシス、刺激応答とシグナル伝達に絡めて教授します。次いで興奮性細胞である神経と筋肉細胞に焦点をおいて、非常に動的な神経と運動機能の基礎となるそれらのメカニズムを講義し、生理学の学習ポイントをつかんでもらいます。
教育方法:
基本的手法は、教科書をベースにした自作のパワーポイントを使いながら、解説を加えていくというスタイルです。教科書の記述の理解を助ける、あるいは深めるような情報がパワーポイントには盛り込まれます。必要に応じて、そのプリントやハンドアウトを配布する予定です。
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | 生理学の序論 | 獣医生理学I、II、III の全体説明 他科目との関連性の説明 | 久留主 志朗 |
2 | 蛋白質の構造とその機能 その1 | 蛋白質の構造とその機能的分類 | 久留主 志朗 |
3 | 同 2 | 酵素、受容体、チャネル、運搬蛋白質など | 久留主 志朗 |
4 | 細胞レベルの生理学 その1 | 細胞内小器官 核、小胞体、ゴルジ体など | 久留主 志朗 |
5 | 同 2 | 生体膜の構造と機能 | 久留主 志朗 |
6 | 同 3 | 生体膜間の物質移動 | 久留主 志朗 |
7 | 細胞シグナル伝達 その1 | シグナル分子の生成と分泌様式 | 久留主 志朗 |
8 | 同 2 | シグナル受容機構と細胞の反応、増殖、分化、細胞死など | 久留主 志朗 |
9 | 興奮性細胞の生理 その1 | 膜興奮の分子基盤 静止膜電位と活動電位 | 久留主 志朗 |
10 | 同 2 | 神経細胞の興奮の伝導 | 久留主 志朗 |
11 | 同 3 | 神経細胞の興奮伝達 シナプス | 久留主 志朗 |
12 | 同 4 | 筋細胞の興奮と収縮機構 | 久留主 志朗 |
13 | 同 5 | 3 種類の筋の収縮機構 | 久留主 志朗 |
14 | 神経系 その1 | 神経系の構造と機能分担 | 久留主 志朗 |
15 | その2 | 中枢神経系と末梢神経系 | 久留主 志朗 |
個体レベルでの動物の機能発現を理解する基礎として、まず細胞レベルでの生理機序を、特に興奮性組織の神経と筋肉について理解する。そのためには、関係する重要な分子や細胞の名称、抽象的な生物学用語の定義についての基礎知識を充分に修得する。生体の恒常性維持機構の概念を把握し、形態学や他科目と有機づけて理解する習慣を付ける。
試験方法:筆記試験 実施時期:試験期間内
期末の試験成績を基準に、出席および欠席回数に応じた調整を加えます。再試験の受験の際も、本試験の成績と合わせて評価します。
まず始めに、高校と教養課程の生物学と化学をしっかりマスターしておいてください。特に高校時代、生物学を履修しなかった方は教養課程の生物学教科書をしっかり熟読し、場合によっては高校生向け教科書を購入し、基本用語に慣れて理解しておくことを希望します。科目が始まったら、予習としては各回の講義内容に該当する、教科書の部分を通読し、専門用語についてはその定義を理解しておいてください。復習においては、参考書、ならびに関連する科目の教科書の関係する部分も学習し、複合的な理解に努めてください。
生理学は、高校で履修する生物学と最もオーバーラップする獣医学系の専門科目ですが、高等動物の正常機能に特化して内容を深めていきます。獣医学に限らず生命科学全般において、日々行なわれている研究により新たな知識が増え、それに伴い知っておくべき用語等がどんどん増えていきます。しかし生理学の学習においては常に、メカニズムの理解とその意義は何かを考え、合理的思考法を訓練し想像力や疑問を持つ習慣を身につけていってください。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 生理学テキスト 第8版 | 大地陸男 | 文光堂 |
参考書 | デュークス獣医生理学 第13 版 | 渋谷泉、鈴木浩悦、渡辺元(監訳) | 学窓社 |
参考書 | ギャノング 生理学 (原書第25 版) | 岡田泰伸 佐久間康夫訳 | 丸善株式会社 |
参考書 | Ganong's Review of Medical Physiology 25th edition | KE Barrett et al. | McGraw-HIll |
参考書 | 標準生理学(第8 版) | 福田康一郎 | 医学書院 |