英文名 | Avian Diseases Laboratory | |
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科目概要 | 獣医学科3年前期 [月曜日4・5・6時限(週3コマ)]、3群科目、必修、実習、1単位(45時間) | |
担当者 | (◎は科目責任者,※は実務経験のある教員) ◎岡村 雅史、 小野 久弥、 胡 東良、 担当者全員 | |
講義室 | B21講義室、A23実習室 |
養鶏産業では、類似した遺伝学的素因を持つ多数の個体を鶏群単位で画一的環境下において飼養している。このような環境に病原体が侵入すれば、鶏肉/鶏卵生産に甚大な被害をもたらす。例えば、最近はウイルス感染による家禽や野鳥の大量死や、細菌に汚染された鶏肉・鶏卵を介した食中毒による人の健康被害も問題化している。そこで、野外発生を想定して各種病原体の分離/同定に基づく診断法について習得する。
回 | 項目 | 内容 | 担当者 |
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1 | 実習概要説明および総論 | 実習全体の概要についての説明と養鶏産業の成り立ち、食鳥処理・食鳥検査の概要に関する解説 | 担当者全員 |
2 | 鶏の解剖学・生理学 | 鳥類の解剖学的・生理学的特徴、ほ乳類との比較に関する解説 | 担当者全員 |
3 | 健康鶏の採血および解剖 | 採卵鶏、肉用鶏および種鶏の解剖と、第9回以降で用いる盲腸などの採材 | 担当者全員 |
4 | 鶏の発生学とウイルス分離法 | 発生学的な特徴とウイルス分離に用いる発育鶏卵接種法に関する解説 | 担当者全員 |
5 | 発育鶏卵接種によるウイルスの増幅 | 尿膜腔内接種法と漿尿膜上接種法 | 担当者全員 |
6 | 接種鶏卵からの採材と内部の観察 | 尿膜腔液の採材、漿尿膜のポックと鶏胚の観察 | 担当者全員 |
7 | 赤血球凝集能に基づくウイルスの同定 | 尿膜腔液を用いた赤血球凝集(HA)試験および凝集抑制(HI)試験 | 担当者全員 |
8 | ウイルス分離法の総括と補足 | 4〜7回の総括とウイルス力価の測定法に関する解説 | 担当者全員 |
9 | 鶏からの食中毒菌分離法 | 鶏製品由来細菌性食中毒に関する解説と増菌培養法 | 担当者全員 |
10 | 選択培地を用いた細菌分離 | 各選択平板培地の特徴とこれによる細菌の分離 | 担当者全員 |
11 | 生化学的性状に基づく細菌同定 | 各生化学的検査の意義とこれによる細菌の同定 | 担当者全員 |
12 | 細菌の血清型別(1) | 抗原構造を同定するための鞭毛抗原の増強 | 担当者全員 |
13 | 細菌の血清型別(2) | 各種抗血清を用いた菌体抗原および鞭毛抗原(1相)の同定 | 担当者全員 |
14 | 細菌の血清型別(3) | 各種抗血清を用いた鞭毛抗原(2相)の同定と抗原構造の最終決定 | 担当者全員 |
15 | 食中毒菌分離法の総括と補足、全体のまとめ、学習効果の確認 | 9〜14回の総括と実習全体のまとめ、学習効果の確認 | 担当者全員 |
1)産業動物としての家禽の重要性とその特徴について具体的に説明できる。
2)症状から原因となる感染症・病原体を推測し、用いるべき検査法を選択・判断できる。
3)鶏生体を適切に取り扱い、採血や解剖、さらにウイルス増幅・分離や細菌分離を実施できる。
4)鳥類疾病およびそれに由来する人獣共通感染症(食中毒含む)への関心を深めることができる。
5)解剖時の危険性や鶏生体および病原体の取り扱い等を配慮しながら、班員と協力し、実習を進めることができる。
到達目標1〜4については前期試験の成績に基づいて評価する。また、到達目標5については実習態度や実習終了時の口頭試問等に基づき減点法により評価に含める。欠席については5点の減点とする(忌引・入院等を除く)。
各回の実習内容について、事前に配付の実習書を読んで理解しておく。理解しにくい点があれば、その都度教員に積極的に質問する。実習後は配付プリントのみならず、教科書「家禽疾病学」やその他の関連書籍・参考書の当該疾病の箇所を読み、大局的な理解につなげる。
本実習では、人にも感染しうる病原体(ニューカッスル病ウイルスやサルモネラ属菌など)を扱うので、実習前後の手指の消毒や無菌操作を含め、実験操作や実習態度には十分注意する。また、本実習には病原体の検査や培養が含まれるため、月曜日以外にも観察や操作が必要なことがある。実習日程には十分注意する(第1回で説明)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠「家禽疾病学」 | 鶏病研究会(編) | |
参考書 | 「獣医家禽診療指針」 | 川崎武志編著 | 講談社 |